私は今年の夏、「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」という制度の高校生等対象10期生として、3週間、ネパールでボランティア留学をしました。そして今回、トビタテの広報活動として夙川ブログで体験談を掲載することになりました。私は文章を作るのがあまり得意ではなく、未熟な部分もありますが、是非最後まで読んでくださると嬉しいです。

 

①トビタテ!留学JAPANとは?
トビタテは「日本の若者が世界に挑み、“本音と本気”で国内外の人々と協働し、創造と変革を起こす社会」及びコンセプト「Challenge ,Connect ,Co-create」を掲げる官民協働の留学促進キャンペーンです。
この制度を利用するには留学計画に関する書類を作成し、審査に通過する必要があります。留学計画の中には独自性や将来性のある探究テーマを必ず含んでいることが必要です。また、アンバサダー活動という留学先で日本について広める活動と、エヴァンジェリスト活動という国内でトビタテについて広める活動を行う義務があります。一次審査、二次審査を通過し選抜された者が派遣留学生(以下、トビタテ生)となります。
トビタテ生は留学準備金と留学費用を給付型奨学金として受け取ります。トビタテ生として採用されるメリットは奨学金だけではありません。参加必須の事前研修や事後研修、その他自由参加の様々なイベントを通してたくさんのトビタテ生とつながることができるのも大きなメリットです。私も事前研修やウェルカム会を通してたくさんのトビタテ生に出会い、お互いの留学計画について情報交換をしたり感想を伝え合ったりしました。

 

②私の探究テーマと留学計画について
私は社会課題探究コースのトビタテ生で、主にSDGsと教育問題について探究しています。今回の留学の探究テーマは「世界中で質の高い教育を普及させるためにできることは?」です。今世界中で様々な問題が起こっていますが、それの根底にあるものは貧困であることが多いと私は考えています。教育を受けられないと、大人になってから良い職に就くことができず、十分な収入が得られずに貧困状態を引き起こします。親が教育を受けていないと、教育の必要性が理解できていなかったり、収入不足で子供も働く必要があったりして、子供も教育を受けることができない場合が多くなってしまいます。その子供が成長するとまた同じことの繰り返しです。このサイクルを貧困の負の連鎖といいます。私は最低限の教育を普及させて、読み書き計算が当たり前になることが、貧困の負の連鎖を断ち切る第一歩になると考えました。そもそも教育を受けられない原因として多く挙げられているのが児童労働・児童婚・学校が遠隔地にあって通えないこと(交通インフラが整備されておらず通えないこと)などです。私は学校が遠すぎて通えなくても学べるシステムがあれば少し教育状況が改善されると考え、今教育を受けられていない子供も、昔教育を受けられなかった大人も、誰もが、どこにいても学べるシステムの構築を目指しています。そして最終的にSDGsの4番目、「質の高い教育をみんなに」の達成と識字率の向上を目指しています。
今回の留学は3週間で、うち2週間は現地の学校でのチャイルドケアボランティアに参加し、最後の1週間はホームステイをしながら探究活動を行いました。ネパールに滞在するうえで常に念頭に置いていたマイルールは「五感すべてを使って現地を体感し、インターネットでは手に入らない情報を手に入れること」です。また、昨年度カンボジアで3週間参加したボランティア留学の経験と比較して、2つの国の教育状況について実際の教育現場を体験することで学びました。

 

③留学体験
はじめの2週間は他のボランティアたちとホテルに滞在し、ボランティア活動に参加していました。チャイルドケアボランティアのメンバーは4人で、うち日本人が私含め2人いました。ボランティア内容は主に2つで、学校での授業と学校の修繕です。基本的には前日に次の日に実施する授業内容の計画を立てます。私達がボランティアをしていた学校は私立の英語の学校で、nurseryという3歳児くらいの子供がいるクラスから16歳がいるクラスまでありました。私達は2週間でnursery、UKG、LKG、Class1~7の授業を担当しました。授業は一日に7時間あり、そのうちの2時間をボランティアが担当します。英語の学校だったのでclass3(日本では小学校3年生)くらいからは普通に英語が通じました。しかしそれ以下のクラスでは通じないことも多く、簡単な説明で行えるゲームや体を動かす遊びをしたり、スタッフに通訳をしてもらったりして授業を行いました。幼稚園では主に塗り絵とシャボン玉を行い、楽しく英語を学べるように工夫しました。Class1では歯磨きの授業を、Class3~5では工作、さらにClass4とClass5では環境問題に関する授業もしました。また、アンバサダー活動としてClass7で折り紙の授業をしました。鶴を折ったあとにみんなからのリクエストでイルカを折りました。ほとんどの子が初めて折り紙をするみたいでしたが、とても楽しんでくれて最後には折り紙をプレゼントをしてくれたのがとても嬉しかったです。

幼稚園での塗り絵・シャボン玉
まだ4歳なのに英語の質問を理解してくれて嬉しかったです!

Class1:ハンカチ落とし・歯磨きの授業、Class2:Simon Says

低学年は本当に元気いっぱいで大変だったけど楽しかったです!

Class3:工作の授業
色や飾り付けに個性が出ていて面白かったです!

Class4:環境に関する授業
水の循環について、英語で説明するのが本当に難しかったです。

Class7:折り紙の授業
アンバサダー活動として実施しました。

 

学校修繕活動では、壁のペンキ塗りや植樹、門のペンキ塗りを行いました。教室はレンガの壁の部分が多く、かなり塗りにくかったです。また、この学校の教室内には電気や空調がなく、無風の時間はとても暑かったです。

門のペンキ塗り
まったく風が吹かない日で、とても暑く大変でした。

壁のペンキ塗り
レンガだから少し塗りにくかったし、身体中がペンキまみれなりました。

 

学校でのボランティアの昼休みに、探究活動として11人の先生方にインタビューを実施しました。最終学歴やネパールの教育が十分だと思うか不十分だと思うか、その理由を聞き、ネパールでの教育普及の状況について探究しました。教師歴3ヶ月の先生から20年目の校長先生まで様々な方にご協力いただき、たくさんの意見を知ることができました。
子どもたちとは授業ではなくてもたくさん遊んだり、お話をしたりしました。彼らはとても積極的で明るく、ボランティアがとても楽しかったです。

ホテル滞在の間は他のボランティアとルームシェアをしていました。はじめの1週間は建築のプロジェクトに参加していたヨーロッパ出身のボランティアとルームシェアをしていて、一緒に泊まっている女性ボランティアみんなでお菓子パーティーをしたり、トランプをしたり、とても楽しかったです。2週間目は次の週からチャイルドケアに参加する日本人ボランティア2名とルームシェアをしました。彼女たちは1週間早くネパールに来て、私が3週間目に受講する英語の語学研修に参加していました。ホテルのご飯も美味しくて、タメル街という繁華街も近かったので、2週間のホテル滞在はとても楽しかったです。

3週間目はホテルからホームステイに切り替わり、語学研修を行いました。語学研修は前まで宿泊していたホテルで行われるので、毎日タクシーで20分ほどの距離を通っていました。生徒は私1人で3時間ノンストップの英語の授業は決して楽ではありませんでしたが、何度も文章を作ったりプレゼンをしたりしたので英語の力がついたと思います。また、語学研修後の空き時間にProjects Abroadのスタッフにネパールの学制について質問したり、大学制度について質問したりして、先生方に行ったインタビューの結果をまとめました。
研修中は2週間目にルームメイトだった2人や、私と同じチャイルドケアに参加していて、3週間目から建築プロジェクトに参加していた日本人ボランティアと再開してお話をすることができたのが嬉しかったです。そして、この語学研修は高校生用プログラムではなく16歳以上用の通年プログラムの扱いだったので、外を1人で出歩くことができるようになりました(高校生用プログラムではひとり歩きは禁止)。私はホテル近くのタメル街に行ったり、ホームステイ先から歩いてランドリーに行ったりスーパーに行ったりしました。カトマンズで信号を1度も見かけず、歩行者優先という概念もなく、バイクも車も止まってくれませんが、はじめての海外でのひとり歩きはとても良い経験になりました。
ホームステイ中は日本人大学生のボランティアとルームシェアをしていて、2人で家から2km先にあるごはん屋さんに歩いて行ったり、一緒にベランダで涼んだり、楽しい時間を過ごしました。ボランティアは一番多いときで6人滞在していました。医療プログラムに参加していたイギリス在住ネパール人のボランティア2人が帰る前に、私とルームメイトとその2人で夜にカトマンズに出かけました。私のお土産のサリーを買ったり、屋台でパニプリという料理を食べたり、有名なお寺のある広場に連れて行ってもらったりしました。ホストファミリーもボランティアたちもとても優しくて、安全に過ごすことができました。

カトマンズの街並みと仏教寺院

(写真左から)ホルトハウスの朝ご飯とチベット料理のBuff Thukpa(水牛のうどんみたいな麺料理)ネパール料理のパニプリ

 

④最後に
今の時代、インターネットでたくさんの情報を簡単に手に入れることができて何でも知った気になれます。しかし、ネパールの人々から香るスパイスの匂いも排気ガスで止まらなかった咳も、体が浮くような道を走るバスも、カンボジアの市場周辺に漂うゴミ山の匂いも現地に行かないと体験することはできません。カンボジアもネパールも事前に現地の情報を調べてから渡航しますが、やはり調べていたこととは全く違うことも多いです。今回のネパール留学3週間では、とにかく街のいろいろなところを見て、人々や街についてたくさん記録しました。3週間決して楽しいことばかりではなかったし、泣いたりしんどかったりしたこともありましたが、トビタテ生としてネパールに留学できたことをとても嬉しく思うし、誇りに思います。