卒業式 祝辞。
 空を飛び交う小鳥のさえずり。暖かい春の光。今にも開こうとしている桜の蕾。その全てが先輩方の旅立ちを心から祝っているかのようです。三年生の皆様、本日の御卒業誠におめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申し上げます。今この夙川高校での三年間、また、夙川中学校からの六年間をどのように振り返っておられるのでしょうか。移転の機会が多く、出発地点でもあった元の校舎から離れてしまい、気持ちが落ち着かず、焦る気持ちもあったと思います。四季を感じることができる、広々とした神園校舎での日々。心地よい海風に吹かれながら、神戸の美しい景色と海を一望できるポートアイランドキャンパスに登校した日々。そして、先輩方にとって最後の一年。深く、青い自然に囲まれ、落ち着いた環境のこの校舎に移転し、長い坂道を上り続けた日々。
 今日で最後の登校。先輩方は制服をまとい、先生と友人と過ごした日々に心細さを感じながら、この長い坂道を登ってこられたのでしょうか。長い年月の間、多くの人と出会い、自分とは異なる価値観や考えを感じ取る事で貴重な体験をし、どこまでも広がり奥深い、十人十色の思い出を築きあげてこられたことと思います。部活動をはじめ、文化祭や体育祭など様々な学校行事では、常に私たち後輩の前を歩き、お手本となってくださいました。そんな先輩方には本当にお世話になり、私たち後輩にとって、先輩方の背中は誇らしく、そして逞しい程にかけがえのないものです。頼れる人がいるという安心感を持つことができ、緊張と不安をいつも取り除いてくれる、エネルギッシュな先輩方とのお別れが、これほど早いとは信じられず、今も寂しい気持ちが込み上げてまいります。

 今、先輩方はこの道の先に向けて、希望と夢を胸に抱き、この門出の席にいらっしゃる事と思います。 進学、または実社会へと進まれる道は異なりますが、これからの人生を歩んでいく中で、数え切れないほどの苦痛や、乗り越えるのに容易ではない壁にぶつかることもあるでしょう。しかし、どうか高校生活で学んだ事を礎に新たな世界でもその希望と夢を絶やさず、ご活躍ください。私たち在校生も、後輩に頼られる存在として悔いのない学校生活を送れるよう、先輩方の姿を思い浮かべながら一層努力いたします。いつまでも先輩方への名残は尽きません。卒業後も時には母校を訪れ、元気なお顔と共に、私たちを励ましてください。先輩方のご健康とご活躍を心からお祈りし、これを祝辞とさせていただきます。

2020年3月1日 在校生代表 阪上 優花