まず、最初に、ここにいらっしゃる皆様にお礼を申し上げます。新型コロナウイルス対策としての全国一斉休校要請を目前に控えた今日、本校が卒業式を挙行するにあたり、皆様のご理解とご協力をいただけたことに感謝いたします。
 さて、夙川学院高等学校 改め 夙川高等学校卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 保護者の皆様、ご子息ご息女のご卒業を心よりお慶び申し上げます。昨年の春、夙川高等学校として新しく舵を切った本校へのご理解とご協力をいただき、深く感謝を申し上げます。皆さんの中には、苦楽園の夙川学院からポートアイランドへの移転。そして、湊川の会下山への移転を経験された一貫生もおられます。この六年の間、毎年校長が交代したとも聞いています。この三年の間でさえ、鏑木校長、荻野校長、淺尾校長と三人の校長が着任しました。大人たちの都合で、学校の環境が目まぐるしく変化しました。楽観的な見方かもしれませんが、そんな混乱を吹き飛ばすかのように、皆さんの顔は明るく輝いていました。私たちは皆さんの明るさに救われてきました。私は皆さんと直接的な関わりをもつ機会があまりありませんでしたが、文化祭でみた皆さんの姿は忘れません。皆さんは生き生きとしていました。焼き鳥、おいしかったです。焼きそばもおいしかったです。トッポギ店、大繁盛でしたね。ごちそうさまでした。アジア研修旅行。無事に帰ってきてくれて本当によかった。部活動。練習がままならない困難な状況の中でもやはり強いです。華奢で大人しそうな生徒までが素晴らしく強い。驚きました。北海道スキー研修。はじける笑顔の写真はすてきです。

 そして、今日、区切りの日がやってきました。夙川を巣立っていく皆さんには、これから口やかましく「これをしなさい、あれをしなさい」と指示や指導をする先生はいません。『これをしてはいけない。あれをしてもいけない』という校則もありません。皆さんは自由を獲得されました。そして、皆さんは、これから自分の頭で考えて、自分で決めて、色んなことを自分自身でやっていかねばならなくなります。明日から突然、何でも自分でできるようになるわけではありませんので、少しずつ、一歩ずつ進んでいってください。流されることなく、ぶれることなく、自分自身の決めた道をいってください。思い通りの人生を歩んでいってください。これからの皆さんの健闘を祈っております。最後に、この学校に関わる大人の一人としてここで約束をいたします。 夙川高校をこの先皆さんが胸を張って誇れる学校にしていきます。最大限の努力をしてまいるつもりです。 皆さんに『この学校を卒業してよかった』と思ってもらえるように頑張ってまいります。 では、皆さん、お元気で。

2020年3月1日 理事長 西 泰子