S1の皆さんご卒業おめでとうございます。
 中学1年生のスタートは、たった一人からでした。複式学級で中学2年生の2人と一緒に合計3人で授業を受けていました。けれども、2学期に3人、3学期に1人、2年生になって更に2人、仲間が増えました。合計7人になり、今日まで過ごしました。1年生では先輩と同じクラスだったので、とても静かに毎日を過ごしておられました。しかし、2年生になって自分たちだけのクラスになった途端、貯めていたエネルギーを精一杯使って自己表現をする、本当に元気でエネルギッシュなクラスになりました。何をしても楽しそうで、何をしてもパワフルでした。3年間、あなた達の姿を見てきました。最初、小さかったのに背が伸びた人もいました。苦手だったはずの提出物が、今ではクラスメートに教えて率先して仕上げるたくましい姿が見られます。男の子ばかりのクラスに女の子がひとり転入してきました。男子ばかりで大丈夫なのかと心配していたら、全く心配ありませんでした。しっかり、リーダーになりました。一番最後に転入してきました。物静かで元気な運動部の人たちとはタイプが違いました。でもゲームの達人で、後輩のJ2達から「先輩には勝てない」と尊敬されていますよ。遠い所から、たった一人でやってきて、不安もいっぱいだったと思う人もいました。でも、すぐに溶け込んで、今では、誰よりも大人の考えを理解する頼もしい存在になりました。2年前、私が転んで顔に大けがをしました。鼻を骨折しました。その時、多くの生徒たちが「先生、どんくさいなあ。」と笑う中で、本当に悲しい顔をして「痛かったでしょう。かわいそうに。」と心配してくれる人もいました。本当に優しい人だと思います。クラスでたった一人、私が大きな声で注意をした人がいました。授業中に集中力を持とうとせず、だらけていたから注意をしました。その時は素直になれなかったけど、後できちんと反省をしました。その素直さは忘れません。いつも元気一杯で、積極的に先生に話しかけてくる人がいました。エネルギーを出す場所を探しているのかなと心配する時もありました。しかし、今年になって、自分の目標をきちんと決めて、たったひとりで毎日勉強する姿が見えるようになりました。頑張ってください。  一人一人の姿は、少しずつしか見ることか出来ていないと思います。しかし、間違いなく成長したことだけは確信しています。学校名が変わりました。学校の場所が変わりました。担任の先生が変わりました。これほど変化を経験することはないのではないでしょうか。でも、あなた達も変わりましたよね。自己主張の行き場所が見つからず、ぶつけてはいけない所にぶつけたこともありました。失敗したのは自分の責任なのに、それを受け入れられずに誰かの方向にそれを投げてしまったこともありましたよね。たくさん注意を受けました。日曜日に保護者と先生と生徒の皆さんが皆集まって話し合いをしたこともあります。放課後遅くまで叱られたこともありますよね。あなた達が涙を流して自分の間違いを謝って、でもそれは、本当に原因を作った人が他にいた、でも、自分達の間違いだけをまず反省した。悔しくて泣いていましたよね。傍で見ていました。そんなことを繰り返して、あなた達は本当に変わりました。人の気持ちのわかる優しい性格がどんどん成長して、大人になりました。高校生になろうとするあなた達は立派に学校生活が送れると信じています。 S1最後の授業で、論語を勉強しました。覚えていますか。一生を通して行うのにふさわしいものは何なのか。「恕(じょ)である。」つまり「思いやり」が一番大切だということです。時々、わがままが出る時があっても、最後にはきちんと自分の行動を振り返ることが出来る。それは他人に対する気持ちをきちんと持っているからではないでしょうか。あなた達は、多くの人たちに支えられ、たくさんのことを学び、本当に大切なことを心に刻んで中学校生活を終えようとしていると思います。自分では気付いていないかもしれません。しかし、あなた達は優しい心の持ち主です。自分を信じて大切にしてください。
 ご卒業おめでとうございます。高校に行ってもがんばって下さい。応援しています。

 

2020年3月18日 S1学年部長 西田 由紀