一日一日と暖かさが増し、緑色の新芽が美しく光る季節となってまいりました。
 理事長先生、学園長先生からの温かいお言葉を胸に私たち115名は今日卒業します。本日はお忙しい中、ご来賓の方々をはじめ、先生方にご臨席を賜り、このような素晴らしい式典をあげていただき、心よりお礼申し上げます。また、答辞を述べるという名誉をいただいたことに感謝致します。

 振り返ればこの三年間、夙川高等学校で様々なことに挑戦し、困難を乗り越え、沢山の経験をすることで私たちは大きく成長することができました。三年前の春、新しい制服に身を包み、私たちは夙川高等学校に入学しました。入学してすぐに、学年全体でのオリエンテーション合宿がありました。同じ空間で過ごすことで、友との距離間が一気に縮まり、この学年で3年間を過ごす決意と、楽しさが沸き上がってきました。同じ年の秋には、東京へ研修旅行にも行きました。クラスを超えてグループをつくり、企業や大学見学を行い、自身の視野を広げ、将来を深く考えるきっかけになりました。

 ポートアイランドキャンパスでは、海風に吹かれ、暖かい日差しを浴びながら、友との時間を重ね、時には教室の窓から見える神戸湾のきらびやかな夜景を眺めながら、将来の夢や希望を語り合ったことも今なっては懐かしい思い出です。二年生に進級すると同時に、会下山の校舎に移転しました。慣れない環境で落ち着かない日々もありましたが、アメリカ研修旅行にむけて準備を進めるにつれて、みんなの顔にも笑顔が戻りました。アメリカ研修旅行では、日本とは異なる習慣や文化の違いを肌で感じ、広大な自然や豊かな街並みに受け継がれてきた伝統を見出すことができました。三年生になると、自宅学習日が増えたことにより友人と過ごす時間が減り、学校行事も少なくなり、学校や友人が恋しくなる日もありました。 残念ながら、楽しみにしていた文化祭は行うことができませんでしたが、高校生活最後の体育祭は多くの方の協力により、全学年で実施することができました。私たちは最高学年として、各団の団長をつとめ、優勝を目指して全力で取り組むことができました。学生生活の中で友とともに、一つの目標に向かって全力を尽くす楽しさを最後に味わうことができて、とても嬉しい気持ちで溢れています。この三年間、紆余曲折がありながらも充実した高校生活が送ることができました。それは、今後の私たちにとって、とても素晴らしい思い出となるでしょう。そしてこの最後の一年間で、当たり前が当たり前ではないということを痛いほど理解しました。学校に行き、当たり前に友達と会うこと、授業を受けることが不可能になった経験を通し、その有難さを実感しました。だからこそ、今後の人生を歩んでいく中の、一つの一つの出来事を大切にしていきたいと思っています。

 今日という日までご指導くださった先生方、未熟な私たちを諦めることなく根気強く支えて下さりありがとうございます。社会とはなにか、人間関係とはなにか、一つ一つに深い意味を込めながら、先生方が教えて下さったたくさんのことを胸に刻み生きていきます。そして、家族の皆様、私たちが今この場に立つことができたのは家族という背中を押してくれる存在があったからです。改めてこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。私たちはこの三年間の学びを経て、夙川高等学校を母校に旅立ち、それぞれの思いを胸に自分たちの道を踏み出します。学問を高める者、社会貢献を果たす為に就職をする者、自分の成し遂げたい事に磨きをかける者、目標を達成しようとする者、志を貫くために精一杯駆け抜ける者。 卒業し、これ以上の困難があったとしても自分なりの答えを導き出すことを忘れずに前へ進むことを決意いたします。

 最後になりましたが、夙川高等学校がこれからも素晴らしき歴史を刻まれますことをお祈りし、ここにお集まりの皆様方に改めて感謝を申し上げましてこれを答辞とさせていただきます。

2021年3月7日 卒業生代表 阪上 優花