夙川中高一貫1期生54名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。この日を迎えられましたのも、皆さんをここまで支え導いて下さった理事長先生、学園長先生、入学時より皆さんにかかわってくださった多くの先生方、そして何より保護者のみなさまのお陰であることに、深く感謝いたします。

 卒業式は英語で「Commencement」とも言います。「Commencement」という言葉は、本来始まりという意味です。中学生活の終わりは高校生活の始まりです。そしてその先の皆さんの将来へ向けての入口となります。まだ見ぬ世界へ向かって進んでいく皆さんに手向けたい私からの言葉が2つあります。自分らしく、この学年らしくあること。そして、諦めず自分を信じることです。

 1期生の皆さんが、高野山キャンプで学園長先生から「新しい夙川へ入学してくれてありがとう」の言葉をいただいた時、学園長先生からの愛情を受け止めると同時に、皆さんも新しい学校作りに一緒にチャレンジし、前進していると改めて実感されたと思います。そのチャレンジを力むことなく自然体でこなしていく学年だと私は感じています。一昨年、コロナ禍で行事もできない状況が続いていた時、登校し始めた当時2年生の皆さんが、やりたいことを盛り込んだ「サマーキャンパス」を企画し、あっという間の短期間で中学生みんなの為にそのイベントを開催してくれました。コロナ禍でのバーベキューの煙は、高校生たちからも、大変うらやましがられました。その後も生徒会活動では常に最後まで運営を担い、裏方を務め、あらゆる行事をやり遂げてきました。3年生では3回の研修旅行を通じて、自分たちで運営していく方法を身に付け、最後には中学全体を纏めていける学年へと成長しました。この学年のしなやかな団結力が3年間を通して培われ、それぞれの生徒の中にも自信として育まれてきたと思います。これからの高校生活でいよいよ受験勉強へ邁進していく時、この学年らしい繋がりを忘れず、仲間と共に大変さを乗り越える力にしてほしいと思います。

 二つ目は諦めず自分を信じること。皆さんと同じころの私は生徒会活動に励んでいました。しかし、同時にバレーボール部にも所属していました。レギュラーメンバーではありませんでしたが、バレーボールをすることが好きで、生徒会行事の前等、準備に忙しい時でも、活動後15分でも10分でもまだバレーボール部が練習していれば、ウェアに着替えてグラウンドの端にあるバレーボールコートへ駆けつけていました。それが最後の体操や基礎練習だけであっても、掃除だけでも参加していました。バレーボールチームと一緒に居たかったし、好きな事をやりたかったからです。レギュラーでなくとも、いつか試合でコートに入ってプレイしたいと願っていました。そして、3年生での試合でピンチサーバーとしてコートに入る機会を得て、サーブした時の緊張と得点が入った達成感はしばらくの間、自分だけの宝物でした。後の海外留学中、授業についていくのが大変だった頃、何とか乗り越えて自分の夢にたどり着かねばと思うとき、この自分の中にしまっておいた宝物が力を貸してくれました。「少しずつでも、バレーボールを諦めないで、毎日頑張ればできたでしょ」と自分を鼓舞することが出来ました。中学部活の小さな出来事でしたが、その後の自分を信じていく助けになりました。諦めずにその時点での目標や夢に向かって進む原動力が生まれ、そこからまた次の宝物を得ていくことが出来ました。これからの皆さんは、自分の好きな事から夢を見つけ、そこに向かっていく日々を積み重ねていくことと思います。Keep on believing!少しずつでも諦めずに続けていけば、そしてそこに到達したいという気持ちを持てば、必ず達成できると信じてあゆみを続けて欲しいと思います。

 そして私達夙川のみんなはいつでも一期生の皆さんを応援しています。S1学年の皆さんと一緒に過ごせたこと、とても嬉しく、感謝しています。これからの健闘を祈ります。

2022年3月18日 学年部長 萩原伸子