皆さんの入学を祝うかのように、桜が満開に咲き誇っています。夙川高校3期生のみなさん、ご入学おめでとうございます。皆さんを心より歓迎し、これから皆さんと過ごすことを楽しみに、期待に胸を膨らませています。保護者の皆様、ご子息ご息女のご入学を心よりお祝い申し上げます。本校の教育は、保護者の皆様のご支援、ご協力なくしては成りたちません。これから3年間どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、新入生の皆さん。今日は高校生活の最初の日になります。これから3年間ここで様々な事を学び、大きく成長されることと思います。この最初の日に私から高校時代に取り組んで欲しい1つの事をお話しさせていただきます。それは「矢印を自分に向ける」と言うことです。
 皆さんには3年後、大学進学が待っています。大学進学は、単に「高校の上にある学校へ進む」だけではありません。大学に進学すると言うことは自分の専門分野を決める事と同意なのです。自分の専門分野を決め長きにわたりその道を歩んでいく。人生の多くの時間をその道に費やし、社会に貢献するのも、人の役に立つのも、家族を養うのも、その専門分野を通じてなされるのです。そのため専門分野を選ぶことはとてもだいじなことです。自分が得意なもの、人より上手く出来ること、あるいは楽しいと思える事を専門分野にすべきだと思います。自分の得意は、多くの人と比較する中で見つけることが出来ます。楽しいと思える事は、色々な事を試してみないと見つかりません。他者と自身を比べた時、自分の劣っている事に心が引きづられがちです。得意なものがある反面、劣っているものがあるのは当然です。そうではなく、矢印を自分に向けるということは、自分の得意や好きなことを発見するために他者と自身を比べると言う事です。

 また、高校時代は心も体も子供から大人に変わる時期です。この時期に自分自身を成長させるために矢印を自分に向けて欲しいと思います。高校の3年間には失敗することや叱られることもたくさんあるでしょう。失敗したとき、その原因や責任を他者に置き換えることは簡単にできます。あるいは何かをして先生や親から叱責される時、自分以外に原因や理由付けをすることも簡単にできます。それは矢印が他者に向いていると言うことです。失敗した時、自身の中に原因や至らなかった点を探すのです。叱られたとき、反抗や反発するのではなく、自分自身の中に叱られても仕方がないと思えるものを探すのです。 かならず何か見つかります。責任の転嫁や反発からは自身の成長は生まれません。矢印を自分に向け、上手くいかないのは自分の何が原因なのか、自分の何を変えなければならないのかを考えてください。そこに自分自身を成長させる姿があるのです。矢印を他者に向け、他者を批評したり、責任を転嫁したりする前に、自身はどうなのか?と矢印の向きを変えてください。

 今日から始まる3年間、皆さん一緒に学びましょう。

 2021年4月3日 夙川高等学校校長 下地 英樹