99周年の記念の日に一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
 思えば、20年くらい前からこのコンサートをやってきました。毎年コンサートのことを考えて、80周年とか90周年とか記念日のことを考えてきたわけですけれども、今そのことを思い出して気づいたことがあります。それは90周年に向けて頑張るぞと思って90周年を迎える。そうするとどういうことが起こるか。90周年に向けて頑張るぞという目的は実現すれば消えてしまいます。ですから、来年にやってくる須磨学園100周年、われわれはそれを目指して頑張ってきたわけですが、100周年になって必ず起こることは100周年を頑張るぞという目標が消えてしまうんじゃないかと思うのです。
 そうです、目標というのは皆さんの人生の目標、皆さんの受験の目標、学校の何周年という目標。全部目標は実現すれば目標でなくなります。何になるのか。次の目標のための手段になります。100周年を迎えれば目標は消えて、101周年を迎えるための毎日が始まります。だから、われわれは何をしなければならないか。それは100周年を祝うということだけでなく、もっと大切なことは80周年であれ、90周年であれ、100周年であれ、110周年であれ、毎年毎年をその年を、言うならば今を大切にずっとずっと生きていかなければならないのではないでしょうか。
 100周年に向かってこの長い間、私どものコンサートの指揮をしてくださっている牧村さんにここで改めて感謝をしたいと思います。  

 (会場、万雷の拍手)

 牧村さんの指揮が、僕は大好きです。それは、なぜか。このパンフレットの後ろに書いてあるわれわれのコンサートのヒストリーを見てください。いろいろな曲をやってきました。いろいろな指揮者の方にお願いしました。その中でぴたっと気持ちの合う、いい指揮をしてくださったのが牧村さんです。その関係ももう十何年になって、感無量なところがあります。
 ところで、この99年学校が続いてきたというのは、当然にこの99年須磨学園を応援してきてくれた皆さんがいらっしゃる、応援してくださった皆さんのおかげです。そのおかげを考えるときに、われわれは強い感謝の気持ちを持つようになります。感謝の気持ちを持つということは当たり前ですが、感謝の気持ちを持ったらどうなるのか。 実は感謝の気持ちを持った人しかわかりません。皆さんも今ここでもう一度この99年でお世話になった皆さんに、今お世話になっている学校の教職員の諸君らに感謝してほしいとお願いしたいです。

 感謝するとどうなるのか。感謝という言葉が表のページに書いてあるとしたら、その裏のページを見てみたら、感謝するという言葉でない言葉が書いてあります。それは何か。 それは幸せという言葉です。感謝をする人だけが感じることができる強い、うれしい気持ち。それが幸せなのではないでしょうか。ですから、99周年の感謝をしていただいて、そして、諸君ら一人ひとりが幸せになっていただいて、その幸せを関係者の方に分けて差し上げてほしいと強く、深くお願いをしたいと思います。

2021年11月4日 学園長 西 和彦