学年団を代表し、ご挨拶させていただきます。

 保護者の皆様、本日はご子息・ご息女の須磨学園夙川中学校へのご入学心より、お祝い申し上げます。中学高校時代の六年間は子供から大人に成長し、人格形成の礎となる時期です。このような重要な時期を私たちに託していただき、心より感謝いたします。同時に、重責に身が引き締まる思いです。

 私たち学年教員は、本日からお子様を預かりますが、いつも温かい気持ちで子供の話を聞き、温かい気持ちで子供に話し、厳しい注意や叱責も温かい気持ちを持っておこなうことをお約束いたします。また、子供達が楽しい学校生活を実現し、楽しい日々を遅れるよ努めてまいります。未熟な部分や至らない点もあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます。私たちは今日みなさんに会えることを楽しみにしていました。これから始まる、皆さんと過ごす学校生活に心躍る思いです。いっしょに頑張っていきましょう。

 突然ですが質問です。皆さんは今日入学式に出席していますが、夙川中学に入学するとはどういう意味があると思いますか。ある人は、中学の勉強を始めること。またある人は、部活道に参加すること、またある人は制服を着ること、色々と答えがあります。どれも正しいのですが、私はそれらに付け加えたいと思います。みなさんは、ここで過ごす六年間に国内各地を訪れ、世界各地へも訪問します。それぞれの場所の歴史や文化に触れ、日本とは違う生活を体験し、音楽や芸術を堪能し、様々な人と関わりを持ちます。未だ足を踏み入れていない未知なる土地、未知なる人々との関わりを持つことになるのです。また、皆さんはこの六年間で、自身の将来のために大学や専門分野、あるいは職業について学び、将来の方針や目標、実現方法を確立するために、未来という未だ経験のない世界に踏み込んでいくのです。つまり、みなさんの前には無限に広がる地平線があるのです。

 また、これから始まる勉強は、テストのための勉強ではありません。成績を取るための勉強でもないはずです。自分が本当に興味のあるもの、面白いと思えるものを追求する勉強です。そこには、学ぶ楽しさの実感とともに、学べば学ぶほど、知らないこと、分からないことを発見するでしょう。つまり、掘っても掘っても掘り尽くせない深みがあることに気づくでしょう。

 皆さんが今日、夙川中学に入学する意味は、はるかに広がる平原を歩み始めること、掘り尽くせない学問の深淵に立つということではないでしょうか。しかし、皆さん自身がそれを自覚し、求めなければ、進むことも深めることも出来ません。ここ夙川の地に立ったのであれば、自分の手で、足で、頭で、言葉で求め、学んでいきましょう。

 最後に、ドイツの哲学者ニーチェの言葉を紹介し、挨拶の締めくくりとさせていただきます。いわく「汝の立っている所を深く掘れ、そこからきっと泉が涌く」

2023年4月8日 J1学年部長 下地 英樹