夙川高等学校へのご入学おめでとうございます。

 高校時代というのは人生の方向性やありようを決める大変重要な時期だと思っています。日本人であっても海外に留学した人にたくさん友達がいますが、ブラジルに入学した友達はすっかりブラジル人になって帰ってきました。アメリカに留学した友達はアメリカ人になりました。帰国子女でアメリカの小学校にいたとか、フランスの小学校にいたとか、そういう人は日本に帰ってきてどうなるのでしょうか。「アメリカのことも英語もフランスのこともフランス語もみんな忘れてしまった。」と笑う。小学生はそうです。しかし高校生は留学をすると、その国の人になって帰ってきて、一生それが続きます。どういうことかと申しますと、諸君らがこれから迎える高校生活、この高校生活の勉強だけではなくて生活のありよう、友達との関係、そういうことすべてが、諸君らの未来を創っていくことになると思います。だから、引っ込み思案の自分とか、怠け者の自分とか、これまでのことは関係なく心を入れ替えて、気を取り直して、高校時代に「なりたい自分」ということを考えながら、進んでいけば大丈夫です。今から間に合います。

 今日、校長先生にお願いをして、夙川のお手洗いにメッセージの言葉を貼ってもらうことにしました。困った時に周りの先生をつかまえて、困ったと言ってくださいというメッセージを貼っています。この高校時代に厳しいこと、つらいことはあると思います。その時にトイレに行ってその言葉を読んだとしても、自分がめげているときに、話しかけようという気持ちすら起きないときもあるでしょう。そんなときは貼ってあるあの紙をはがして持ってきてください。何も言わずにそれを渡すだけでいいです。そうすれば、我々はその瞬間から君達を助けるために、救うために動き始めます。

 諸君らのこれからの人生を決める大きなきっかけとなる高校時代、頑張ってほしいと思っています。しかし、つらいことに出会ったら躊躇なく助けを求めてほしいです。学校は諸君らを助けるために、一生懸命全員でサポートして行くつもりでおります。

 これをもって今日のお祝いの言葉にしたいと思います。

 2023年4月8日 学園長 西 和彦