長く厳しい冬が続いていましたが、突然春がやってきました。

 今日、会下山の桜は満開に咲き誇っている中、たった今入学を許可された、夙川高等学校6期生29名並びに夙川中学校高等学校一貫3期生113名の皆さん、ご入学おめでとうございます。私たちは皆さんを心から歓迎します。これからの3年間、どうぞよろしくお願いします。楽しくやっていきましょう。

 保護者の皆様、ご子息ご息女のご入学を心よりお慶び申し上げます。この3年間、私共は全力で子供さんの指導にあたらせていただきます。夙川高等学校の教育は、保護者の皆様のご理解とご支援なしには成立いたしません。どうぞご家庭の深いご理解と温かい共感をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、新入生の皆さん。これからの高校生活に希望と期待で胸を膨らませて今日登校されました。これからの3年間の高校生活において、私が申し上げたいことは2つあります。

 これからの3年間を、次の段階の教育を受ける準備の期間だと私は捉えています。それで、1つ目に申し上げたいことは、皆さん、決意をしてください。これからの3年間のんびり過ごす、そういう過ごし方もあるかもしれませんけれども、皆さんが掲げておられる高い目標、大きな夢、それを実現するために必要なことは、決意をすることです。自分はこれから先の高い目標に向かって、苦しいかもしれないけれども、努力を積み重ねていくという、その決意が必要です。その強い決意とともに、これから毎日、時々は休むかもしれませんけれども、努力を積み重ねていくことができます。その決意なしには、何となくのんびりと過ごしてしまいかねない。それほど楽しい、いろいろな誘惑が待っている3年間です。皆さんの可能性は無限に広がっていると言われていますけれども、皆さんの時間は有限です。3年間でどこまで自分は登っていくことができるのか、そのことをしっかりと考えて過ごしていただきたいと思います。

 2つ目のことです。夙川高等学校が皆さんに期待する学びの在り方、それは主体的な学びです。与えられることをするのではなく、与えられることだけをやるのではなく、教えてもらうことだけを受け取るのではなくて、自ら掴みにいく学びを実践していただきたい。人から教えてもらうことの知識を覚えることよりも、自分から知りたいと思って掴みにいって得たものというのは何十倍も価値があると私は思っています。

 3年後には、皆さんほとんどすべての人たちが大学の入試をお受けになられることになります。机に向かう学び、机に向かって得た知識、それだけでは十分ではなくなってきています。今、大学の入試の在り方は大きな改革の波の中にあります。知識の定着と吸収、知識を使うことだけでなく、さらに深い学びの力が必要とされています。正解のない問いをどのようなアプローチで考えていくのか、目標に向かって自分はどのようなプロセスでその目標を達成していくのか、そういった力も求められています。それだけでなく、皆さんの学ぶ姿勢も問われます。なぜでしょうか。それは時代の流れとともに社会が変わっているからです。この社会の変化とともに、皆さんに求められる事柄、在りよう、変わってきています。それをしっかりと大きな目を見開いて、実感してください。

 社会の変化の中でも変わらないものもあります。変わらない事柄、それは人としてあるべき姿、高い倫理観、たくましい理性、人の痛みに共感する力。この人としてあるべき姿の土台を固めていくのが他でもない、これからの3年間です。そのことが身につかないまま大人になって社会に出ていかれることのないように、今のうちにいろんなことを実践し、いろんな人と関わり、いろんな人の価値観を受け入れながら、そして反省とともに改善を繰り返しながら大きくなっていってください。

 今、皆さんの目の前に広がっている世界はとても広く、そしてこれから皆さんが登ろうと目指す山は、高い山かもしれません。より高く登れば、より広い世界が見えてきます。山頂に続く道は険しい道かもしれませんが、その山道をみんなで登っていきましょう。

 今から3年後、皆さんにどのような景色が見えているのか楽しみにしています。それではスタートしましょう。

2024年4月6日 理事長 西 泰子