夙川中学 中高一貫5期生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
みなさんは本日、中学課程の3年間を終了しました。この3年間は、人生の中でも最も成長の著しい3年間であったのかもしれません。 3年前と今日の姿を比較すると、見違えるほどの違いがあります。中学・高校時代に求められるものとして、活動や知識の範囲を拡大し、視野を広げ、自分の世界を広げることが挙げられます。この3年間を思い返せば、中学から始まった電車通学、部活動を通じての他校の顧問の先生方や生徒との交流、国内外の研修旅行など、小学校とは比べものにならない広い範囲で活動し学び、世界を広げることができたと思います。
さらに、来年度にはヨーロッパ研修旅行があり、今回からイタリアも訪問します。イタリアと言えば、先のミラノ・コルティナ冬季オリンピックが思い出されます。全身全霊で競技に打ち込む選手たちの姿に、私たちは感動を覚えました。同時に私は、選手たちの言動にある種の違和感を覚えることもありました。ライバルに負けた選手が、4年間必死に努力をしてきたにもかかわらず、どうしてあれほどあっさりと負けを認め、勝者を称えることができるのでしょうか。また、マイクを向けられたメダリストは、たいへんな努力を重ねてきたにもかかわらず、なぜ自分のことはほとんど語らず、協力してくれた人々への感謝を語るのでしょうか。
フィギュアスケート女子で見事金メダルを獲得したアリサ・リウ選手は、インタビューで「勝っても、負けても、いいんです。どちらも私の美しい物語の1ページになるのだから」と答えています。勝負の世界にいる人が、どうすればこのような言葉を口にできるのでしょうか。私にはとても不思議に感じられます。おそらく、普通ではない努力を積み重ねた彼らは、私たちには見えない世界、理解できない世界から、競技や勝ち負けを見ているのではないでしょうか。
さて、4月から高校生になるみなさん。次の3年間でも、さらに大きく世界を広げてください。世界を広げる方法はさまざまありますが、オリンピック選手がそうであるように、1つのことに打ち込んだ人にしか見えない世界というものもあります。自分が取り組むことが正しいのか間違っているのか、価値があるのかないのか、そのようなことは結果になって初めて分かるものです。だからこそ、そのようなことを問う前に、ただ「やりたい」「好き」という自分自身の気持ちを信じて突き進める何かを持ってください。その先には、見たこともない風景が広がり、みなさんの世界を広げてくれるのではないでしょうか。
「ほどほどに」「月並みに」「適当に」は、高校生には似つかわしくない言葉です。「やりすぎ」「背伸び」「過剰」「一心不乱」「ひたむき」「無鉄砲」 「なりふり構わず」「猪突猛進」といった言葉こそが、若い高校生にふさわしい言葉です。「過ぎたるは及ばざるがごとし」という言葉がありますが、「及ばざるもの」であるよりも「過ぎたるもの」になりましょう。そして、「過ぎたるもの」にしか見えない世界を獲得してください。
最後に、みなさん、3年間よく頑張りました。みなさんと一緒に歩むことができたことを誇りに思い、心から感謝しています。 ありがとうございました。
みなさんの高校での活躍を心より期待しています。
2026年3月14日 学年部長