ご入学おめでとうございます。この入学の日にあたり、私は三つのことを皆さんにお願いしたいと思います。

 まず一つ目です。私はちょうど70歳になりました。70年間の人生を生きてきて、自分が振り返って「ああ、こうしておけばよかった」と思うことが一つあります。それは何か。それは、高校時代に、もう少ししっかり勉強しておくべきだったということです。受験に向けては、2年生になったらスイッチが入ると思いますし、3年生になると、朝から晩まで受験一色になると思います。しかし、そうではなく、今日の夕方から勉強のスイッチを入れてほしいのです。人よりも1年早く勉強のスイッチを入れることで、間違いなく人に勝つことができます。1年後にスイッチを入れる、2年後にスイッチを入れる、それでも間に合うとは思いますが、人に勝つことは難しくなるのではないかと思います。だからこそ、これからの3年間は、振り返ったときに「あんなに勉強したことはなかった」と思える3年間にしてほしい。これを切にお願いしたいと思います。

 次に二つ目です。皆さん、世の中は勉強ができるだけでは通用しません。東京大学や京都大学、大阪大学に進学し、法学部や工学部を卒業したからといって、人生に勝ったと思ってはいけません。勉強ができるだけでは不十分です。だから、この高校3年間で、クラブ活動でもよい。個人的に行っている習い事でもよい。趣味でもよい。何でもよいので、勉強以外に何か一つ、人に誇れるものを持ってほしいと思います。「傑作展」に向けて、傑作に挑戦すること。それをお願いしたいと思います。もちろん、勉強も一生懸命に取り組んでください。

 最後に三つ目です。お願いしたいことは、友達をつくってほしいということです。では、友達とは何か。私の定義では、「同い年の兄弟をつくること」です。兄弟は血がつながっていますが、友達は血のつながりはなくても、同い年の兄弟と同じような関係を築くことができます。皆さんの中には、双子や三つ子として同い年の兄弟がいる人もいるでしょう。その人にしか分からないありがたさがあります。そうした関係を築いてほしいのです。

 しかし、何もしないでいて、そのような人が自然に現れるわけではありません。自分が友達になってほしいと思う人のところへ行き、「私の友達になってください」と伝える。自ら働きかけることが必要です。人は磁石のように自然に引き寄せられて友達になるわけではありません。友達をつくりたければ、そのための努力が必要です。たくさんの友達でなくてもよい。1年に1人でよいのです。

 高校3年間で3人、1年に1人ずつ、ぜひ友達をつくってください。中高一貫の諸君は、夙川を卒業する頃には、6人の友達がいることになります。そのような高校生活を送ってほしいと、深く願っています。

 諸君のこれからの3年間のご健闘を祈っております。

 2026年4月4日 学園長 西 和彦