今年の冬は長く厳しく、寒い日が続きましたが、ここ数日で一気に春の気配が広がり、今日、会下山の桜は満開となりました。皆さんのご入学を待ちわび、歓迎しているかのようです。

 須磨学園夙川中学校第8期生99名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員一同、皆さんを心より歓迎します。

 保護者の皆様におかれましては、ご子息ご息女のご入学、誠におめでとうございます。これからの六年間、お子様の成長を共に支えてまいりたいと存じます。本校の教育は、保護者の皆様のご理解とご協力なくしては成立いたしません。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また、ご来賓並びに育友会本部役員の皆様、本日はご多用の中、ご臨席を賜り、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございます。

 さて、新入生の皆さん。皆さんはこれまで中学受験という大きな目標に向かって努力を重ね、その結果としてここにいらっしゃいます。皆さんが積み上げてこられた努力に、心から拍手を送りたいと思います。これから六年間、前を向いて共に過ごしていきましょう。

 それでは、新たに須磨学園夙川生となられる皆さんに、私から三つのことを求めたいと思います。

 一つ目は「自律」です。一朝一夕に自律が身につくものではありませんので、自律に向かう努力を求めます。自律には二つの意味があります。一つは、自分の足で立つ「自立」。これは将来、一人で生きていける力を指しますが、皆さんにはまだ少し先のことかもしれません。もう一つは、自分を律する「自律」です。これは中学生の皆さんにも十分にできることです。これまで皆さんの多くは、ご家庭に支えられて生活してきたことと思います。しかし、今日からは違います。朝は自分で起きる。自分で準備をする。自分の身の回りのことは、基本的に自分で行うようにしてください。

 入学後まもなく、スプリングキャンプがあります。お家の方に準備をしてもらうのではなく、自分で何を持っていくのかを確認しながら、自分で荷物を詰めてください。そうした経験を積まなければ、海外研修旅行やその他の研修でも困ることになります。実際、スプリングキャンプの後には、宿舎から大きな段ボール箱が届くことがあります。中には下着や靴下、体操服などが入っています。これは、自分で何を持っていったのか把握できていないために起こることです。ぜひ気をつけてください。まずは自分のことを自分でできるようになること。そしてそれができるようになったら、次は自分以外の人のために何ができるかを考えてください。それが成長につながります。例えば、お弁当箱を自分で洗うことでもよいでしょう。きっと喜ばれるはずです。

 二つ目は、当たり前のことを当たり前に行うことです。一見、とても簡単なことです。しかし、これを継続して実行することは決して簡単ではありません。夙川は、自由を楽しむだけの学校ではありません。むしろ厳しい学校です。しかし、その厳しさは特別なものではありません。挨拶をする。これは人間関係の第一歩です。ルールを守る。これも非常に大切なことです。集団の中では、ルールを守ることの重要性を皆さんはこれから実感することになります。例えば、時間を守ること。生徒が99名いる中で、一人が5分遅れたとします。すると延べ時間では8時間15分もの時間が失われることになります。これは非常に大きな損失です。一人の遅れが、全体に大きな影響を与えるのです。だからこそ、「自分は絶対に遅れない」「5分前行動を徹底する」と決めてください。

 人の話をきちんと聞くことも同様に大切です。これらはすべて、社会に出たときにできて当たり前とされることです。だからこそ、今この時期にしっかりと身につけてください。実は、大人の中にも挨拶ができない人、時間を守れない人、ルールを守れない人が少なからずいます。それは、中学・高校時代にその力を十分に育ててこなかったからだと、私は考えています。だからこそ、この時期にしっかりと取り組んでください。勉強ができるだけでは不十分です。

 三つ目は、相手の立場に立って物事を考えることです。人の心は、一人では育ちません。人との関わりの中で育っていきます。「自分が嫌なことは相手にしない」。これはとても大切な考え方です。しかし、それだけでは十分ではありません。人はそれぞれ感じ方や価値観が異なるからです。自分にとっては問題がなくても、相手にとっては不快に感じることがあるかもしれません。相手の立場に立つということは、そうした違いを想像することです。この言葉は相手にどう伝わるのか。この行動は相手にとってどう感じられるのか。常に考えることが大切です。その想像力が、人間関係を豊かにし、皆さん自身の成長につながっていきます。皆さんには、そのようなたくましい理性とみずみずしい感性、そして温かな心を育んでほしいと願っています。皆さんがこれから過ごす12歳から18歳までの六年間は、繰り返しになりますが、人生の中で非常に重要な時期です。この六年間で、皆さんは大きく成長します。

 今の皆さんは、まだ何者にでもなれる可能性を持っています。しかし、思うだけでは実現しません。やるかやらないか、努力するかどうかで決まります。だからこそ、さまざまなことに挑戦してください。多くの人と出会い、自分の世界を広げてください。六年後、どの道にも進める力を身につけてほしいと願っています。私たちは、皆さんを温かく見守るだけでなく、時には厳しく指導し、共に悩み、共に喜びながら、その成長を支えていきます。努力を積み重ねた人だけが味わうことのできる深い達成感と喜びを、ぜひこの学校で経験してください。

 それでは皆さん、今日から新しい一歩を踏み出しましょう。

 皆さんのこれからの成長と活躍を心から期待し、私の挨拶といたします。ご入学おめでとうございます。

 2026年4月4日 理事長 中学校校長 西 泰子