夙川中学校の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんは、これから六年間、この夙川中学校・高等学校で学ぶことになりますが、この六年間のどこかで、皆さんは大人になると私は思っています。では、大人になるとはどういうことか。それは、自分とは何かということに目覚めることだと私は考えています。

 自分が生まれてきた日のことを覚えていますか。おそらく誰も覚えていないでしょう。生まれた時の写真を見たりして、「自分は生まれてきたのだ」と感じることはあるかもしれません。しかし、もう一つの誕生日があります。それは中学時代や高校時代に訪れるものです。それはどういう日か。それは、「自分は何なのか」「自分はなぜ生まれてきたのか」といったことに気がついた日です。私は、それが大人になった日だと思っています。夙川で過ごす中で、いつかそのように感じる日が来たなら、「先生、私は大人になりました」と、ぜひ知らせてほしいと思います。これが一つ目の願いです。

 二つ目の願いです。皆さんは中学校受験のために、塾に通い、勉強中心の生活を送ってきたと思います。塾で一緒に学んだ友達もたくさんいることでしょう。私自身にも、生涯の友達と言える四人の仲間がいます。その四人は、中学時代に一緒に英語を習っていた友達です。ですから、これまでの友達も大切にしてほしいのですが、これからの中学・高校生活で、ぜひ新しい友達、できれば親友と呼べる存在を見つけてほしいと思います。

 では、どのような関係の人を指すのでしょうか。兄弟には、年上の兄や姉、年下の弟や妹がいます。しかし友達はそうではありません。兄でも姉でもなく、弟でも妹でもない、同い年の兄弟のような存在です。同い年の兄弟がいる人は双子や三つ子など限られていますが、そのような関係を友達として築いてほしいのです。年が同じで、兄弟と同じような感覚で付き合える人。そういう友達を、この六年間で見つけてほしいと思います。たくさんでなくても構いません。一年に一人でよいのです。一年に一人、そのような友達を見つけることができれば、夙川を卒業する時には六人の友達ができることになります。

 私は今年で70歳になりましたが、これまで生きてきて、自分にとって一番大切なものは何かと考えたとき、父や母が亡くなった今、残っているのは、自分の兄弟と、共に生きてきた友達です。結局、最後に残るのはそうした存在なのです。

 以上を踏まえて、自分自身に目覚め、よい友達をつくり、楽しい毎日を夙川中学校、そして夙川高等学校で過ごしてくれることを心から願っています。ようこそ夙川へ。ご入学おめでとうございます。

 2026年4月4日 学園長 西 和彦