十年に一度と言われた厳しい寒さも和らぎ、穏やかな陽気になってきました。梅の木も蕾をつけ、春の訪れを感じさせるこの佳き日、夙川高等学校を卒業される中高一貫2期生・高校入学5期生の先輩方に、在校生を代表し、謹んでお祝い申し上げます。
2021年4月、先輩方が「ヨウコソ!」という人文字で私たちを迎えてくれた時以来、この校舎がコンパクトだからか、行事が多いからか、先輩方とは関わる機会が多々ありました。いつも先輩方は、私たちに影響を与え続ける存在、そして何よりも私たちの「目標」でした。
「目標」。その一つは、「リーダー像」にあったと思います。ウィンターキャンプで、先輩方は、リーダーとして先頭に立ち続けていました。時に厳しく、時に優しく。自らの職務をやり遂げようと確固たる信念を持ち続けて、努力していた先輩方の姿を、私たちは間近で見てきました。先輩方に感化された、翌年のウィンターキャンプのリーダー達にとって、その姿が目指すリーダー像であったと思います。
行事においても、先輩方は私たちの「目標」でした。どの行事であっても、先輩方は常に全力で、想像力を爆発させ、大胆かつ丁寧に、独創的な企画を作り出してきました。
文化祭では、ゴーカートや射的、飲食店等、様々な制約がある中でも最大限工夫して模擬店を作っておられました。まとまりに欠ける私たちが、文化祭を作っていくことに不安しか覚えません。
体育祭では、総団長や応援団長として6学年が属する団をまとめておられました。集団行動や応援団演舞では、用具、振り付け、衣装等、あらゆる所にこだわりを見せ、本番では全てを高いレベルで完成させていました。これは、先輩方の人を惹きつける力の賜物であったと確信しています。
先輩方は、行事等では、私たちの「目標」として追いかけられる存在でしたが、一方で勉学では、「目標」を追いかける存在でした。定期考査が終わっても遊ぶことなく参考書に取り組んだり、わずかな隙間時間でも単語を暗記したり。「目標」の為に全力で取り組む姿は、在校生なら誰しもが一度は見たことがあるでしょう。そして、その姿は、また私たちの「目標」となりました。
このように、先輩方は、私たちの「目標」として、私たちの先に立ち、まだ新しい夙川中学校・高等学校の「歴史」を作り上げてきました。今後私たちは、偉大な先輩方の「歴史」を引き継ぐことを目指し、歩み続ければ良いのでしょうか。そうしたら、「目標」である先輩方のようになれるのでしょうか。個人の営みが歴史を規定する一方で、個人は歴史に規定されます。私たちが先輩方の「歴史」に規定されて、先輩方の幻影を追い、伝統を継承しようとする限り、「目標」に追いつき追い越すことはできないと思います。私たちが為すべきことは、自らが思う最善の道を突き進み、歴史を規定する側に立ち続けることです。私たちは、自分たちの手で、新たな夙川を創り上げます。
いよいよ先輩方との学校生活も、終わりを告げようとしています。先輩方は何を思い、この卒業式に臨んでおられるのでしょうか。先輩方の考えは、とても私には推し量れそうもありません。しかし、もし仮に、将来への不安を少しでも抱いておられるならば、それは無用の心配だと胸を張って言うことができます。一番近くで、先輩方を見てきたのだから分かります。先輩方には、あらゆる困難に打ち勝つ力がある、と断言できます。私たちは、ここ会下山の地で、先輩方のご活躍を応援しています。
結びに、先輩方が新たな地でも、誰かの「目標」となり、新たな「歴史」を刻むご活躍をされることを祈念し、御祝いの言葉とさせていただきます。
2026年3月1日 在校生代表