須磨学園夙川中学校5期生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。この3年間を振り返ると、皆さんは本当にいろいろなことを学び、経験され、大きく成長されました。皆さんのご家族は、心身ともに立派に成長された皆さんの姿を見て、心から喜んでおられることと思います。私たちも皆さんの成長をとても嬉しく思っております。
さて、今日のこの卒業式は何のために行っているのかということについて、申し上げたいと思います。夙川中学校高等学校は中高一貫の学校です。今まで切れ目なく中学校生活が続き、そしてまた切れ目なく高等学校へ進みます。S1からS2へ進むことを、皆さんは自然なこととして受け止めているかもしれません。しかし、今日この日を迎えているのは一つの区切りのためです。今日の卒業式は、義務教育が終了する日です。そして同時に、皆さんが子どもから大人になっていただく、区切りの日であることも認識していただきたいと思います。
では、子どもと大人の違いはどこにあるのでしょうか。今日まで子どもで、明日から大人。なれますか。子供と大人の違い。私が「子どもだ」と思う人はどういう人かというと、例えば自分の思い通りにならないことに遭遇したときです。世の中のほとんどのことは、自分の思い通りにはなりません。けれども、自分の思い通りにならないことに出会ったとき、子どもは駄々をこね、わがままを言ったりします。そして、自分の思い通りにならないことを相手のせいにします。自分に足りないところがあることを反省しません。人に迷惑をかけても謝らない。でも本人には全く悪気がありません。私はそういう人が子どもだと思います。
程度の差はあっても、皆さんにも多少思い当たることはありませんか。私を含めて、実は大人の中にもそういう人が少なからずいます。反省をしないまま生きてきた人は、子どものまま大人になってしまいます。それはとても恥ずかしく、情けないことです。しかし、当の本人はそのことに気づいていないことも多いのです。わがままは一度や二度なら許されることもあります。皆さんのわがままも、これまで周囲から許されてきたことがあるでしょう。しかし三回、四回と同じことを繰り返している人に言いたい。そろそろわがままをいわずに、自分がやったこと、またはやらなかったこと、自分が言ってしまったこと、自分が言わなかったことに責任を持ってください。
責任を持つということ、責任を負うということは、自分のしたことを人のせいにしないということです。たとえ自分のしたことが間違っていたとしても、それを受け止めて逃げないことです。問題をすぐに解決できないとしても、何がいけなかったのかを考えることが大切です。そして、自分が間違っていたと思うなら、きちんと謝ることです。感情的に反応するのではなく、理性的に解決を探っていきましょう。自分はどうすればよかったのか、どのようにすべきだったのかを幼い自分に問いかけてください。その幼い自分に問いかける大人の自分を育ててください。自分はどこがいけなかった、どうすべきであったのか。皆さんには、そういう逞しい理性を身につけてほしいと思います。
トラブルがあったとき、感情の赴くままに怒ったり泣いたりするのではなく、相手の立場に立って想像力を働かせてください。これはイマジネーションの問題です。相手がどう思っているのか、どう感じているのか、どんな人なのかを考える。それはとても難しいことだと思います。しかし、考えた後で次に何をするのか。考えたことを相手に素直に、率直に伝えてください。相手が受け止めてくれるかどうかは分かりません。もし受け止めてくれなかったときには、自分の考えたことを周りの大人に聞いてみてください。先生やご両親、先輩たちに相談してみてください。
周りの大人が、皆さんの望む答えを持っているとは限りません。それでも、自分一人で抱え込まないでください。自分は正しかったのか、間違っていたのか、どうすればよかったのかを、もう一度問い直してみてください。周りの大人も、必ずしも答えを持っているわけではありません。しかし私は、たとえ間違っていたとしても、自分の頭で考えて出した答えには意味があると思っています。教科書に書いてあったことでもなく、人から教えてもらったことでもなく、自分自身で考え、出した答えには意味があります。そして、もしその答えが間違っていたなら、修正すればよいのです。反省し、改めて軌道修正してください。そうすることを繰り返すことで、今まで分からなかったことが一つずつ腑に落ちていくはずです。
私は皆さんに、そういう学びを期待しています。皆さんのさらなる成長を願い、これからも応援していきたいと思います。
ご卒業おめでとうございます。
2026年3月14日 中学校校長 西 泰子